こんにちは。寒さが本格的になってきましたが、皆さま体調はいかがでしょうか?
今月は作業療法士(リハビリ)の小針が担当します。
私は千葉県内のリハビリテーションセンターで勤務後、まごころに来て3年目となりました。少し堅い内容になるかもしれませんが、今月のブログでは「作業療法」についてお話をさせていただきます。
まず作業療法とはどういったリハビリなのでしょうか。他の専門職の方からも利用者さま・ご家族さまからも聞かれる質問第1位!といっても過言ではない質問、それは「理学療法士と作業療法士の違いってなんですか?」です。その場で熱く質問に答えたい気持ちはやまやまなのですが、長くなってしまったり分りにくくなってしまったりするため、どうしても端的に答えがちです。
では作業療法とは。リハビリテーションの中でも “生活行為(作業)”を向上させるせることを得意とするリハビリの職種です。生活行為とは食事やトイレといった身の回りの作業から仕事、趣味、地域・社会活動などその方が行っている活動すべてを指します。特に私たちは対象となる方の“価値のある生活行為”を重視し、利用者さまと一緒に目標を決め達成するためにリハビリを進めていきます。
例えば、自宅で入浴したいという方の場合、シャワー椅子は必要か、浴槽は座って跨げるか?それとも立って跨げるか、浴槽から立ち上がることはできるか、などあれこれと評価し動作練習以外にも必要であれば福祉用具を選定したり、手すりの位置を検討したりしていきます。
また復職を希望される方の場合、どのような仕事内容か、通勤時間はどのくらいか、職場環境はどうか、仕事をこなすことができる体力や身体機能はどうか、といった評価を行い実際の仕事内容を模して練習したり、実際に電車やバスに乗って練習したりもします。
訪問リハビリの現場では広く知識や技術が求められるため、理学療法も作業療法も違いを感じにくいですが、理学療法は座る・立つ・歩くといった基本動得を得意とする職種です。
ここで私の作業療法士経験9年の中で、財産となっている言葉や経験をご紹介します。
ひとつめは学生時代。卒業式当日に担任の先生から頂いた忘れられない言葉があります。「作業療法士として考えることを諦めないでください」という言葉です。臨床の現場を知らない学生の私の心にもとても響き、作業療法士になった今でも日々思い出しとても大切にしています。
もうひとつ、働き始めてから担当したある患者さまに頂いたお手紙に忘れられない言葉があります。「江本さん(旧姓)のリハビリは普通の生活を取り戻すためのリハビリです」という言葉です。対象となる方の生活をより良くすることを生業にしている作業療法士の私にとって非常にうれしい言葉で、今でも思い出すとうれしくなる言葉です。
作業療法士にかかわらず、私たちリハビリテーションの仕事には「これ」といった正解がないことが多くあり、利用者さまと一緒に日々悩み考えながら毎日を送っています。
作業療法士で知らない人はおそらくいないであろう「作業療法の世界」という本があります。この本を執筆された鎌倉矩子先生の一節に「私は10年経って作業療法士として人の役に立つことがあるだろうという思いを抱いた」という文があります。
私は残念ながらまだ経験9年ですのでお役に立てることが少ないかもしれません。時にお節介だなぁと思わせてしまうこともあるかもしれませんが、より良く安心して生活できるよう一緒に考え全力でお手伝いをさせていただきます。今後ともよろしくお願い致します。
作業療法士 小針