こんにちは、院長の梅野です。
開会前には賛否両論、喧々諤々、さまざまな議論のあった東京オリンピックも予定どおり開催され、すでに後半戦に入りました。ときを同じくして新型コロナウイルスが再び猛威を振るい、第5波が到来、千葉県内も明日8月2日より再びの緊急事態宣言下となります。
8月は、例年どおりの暑さとの戦いと共に、あらためて感染症対策を徹底し、ひとりひとりが健康への意識を高め、これ以上の拡大を防いでいきましょう。
さて、第47回まごころ在宅連携会を、7月20日(火)18:30~20:00、Zoom(オンライン)にて開催いたしました。
質問に回答するディスカッション時間も含めると2時間に及ぶ会となりましたが<延長戦を30分行ないました!!>
YouTube参加者を含め、100名を超える皆さんにご参加いただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
宅老所・いしいさん家の石井 英寿さんに「 "認知症" とどう付き合っていくか?」と題してお話しいただきました。
その内容について少し触れたいと思います。
今回、認知症をテーマに講演をお願いしましたが、
いしいさん家での取り組みを中心に、いかに地域、コミュニティを作り上げていくか、どのような人生を送り、その支援をするか、に収束していき、いつもの石井さんワールドに参加者の皆さんは引き込まれていました。
前提として、
「認知症ケアに正しい答えはない」
「その点でしか交流してないので、いろいろとレッテルを張るのは間違い」
と言い切る石井さん。
見えている世界は違う、
人と人の付き合いをしていく、
との考えから、
「認知症症状のある方の考えていることは、その人本人にしか分からない。」
悩めるご家族に専門職がそう答えることは悪いことではない、と伝えているそうです。
その上で、理解しようとする姿勢は伝わる、感情に向き合うことは大切だ、ということです。
例えば、デイサービスなど自宅とは違う環境で入浴する。
やっぱり、それは嫌だろう。
ならばと、
「お風呂掃除をお願いできますか?」
とか、
「子供をお風呂に入れてもらえます?」
とお願いすると、自然に(なし崩し的に)入浴してくれるのだそうです。
施設入所中で帰宅願望の訴えを繰り返す方には、
「ちょっとでもいいから家族と会ってもらうことで、会いたい!という心を満たしてあげる。」
「また来週ね!と説明すれば、しっかり理解してくれる。」と。
そもそも自宅に帰りたい、という気持ちって至極当たり前の感情ですよね。
ご家族に対しては、ステージ理論【驚き・とまどい → 混乱・怒り・うつ → あきらめ・開き直り → 理解 → 受容 → 発信(自分の経験を社会に活かそうとする)】で理解を試みようと。
そして私たちは、家族の揺れ動く気持ちを受容してあげようよと。
「初産ママは0歳の赤ちゃんと共に、"ママ年齢0歳" から少しずつ成長すればいいんだよ。同じように、介護する家族も、"介護年齢0歳" からのスタートという意識でいいんだよ。」と。
その他に、
・駄菓子屋さん
・登下校の交通安全のおじさん
・近所、包括の方々とのお酒の場
といった活動もされています。
新型コロナで一部控えているとのことですが、
語りの場では老いについて、介護について近所の方々に知ってもらう、
そして自分ごととして考えてもらう場所にしているとのことです。
また、いずれの活動も近隣とのトラブルへのリスクマネジメントにも繋がっていると。
"いしいさん家" を通して、過去から未来の "ヒトの人生" を見通すことができる、そんな場所を "いしいさん家" は提供していることが分かりました。
新型コロナで生活を左右されている現在。
不確かなこと、答えの出ない事態に耐える力=ネガティブケイパビリティを養おうと。
そのためには、"今、ここ" を共感することだと。
そのために、
・自己中心的 → 主体性がある
・わがまま → 個性的
・自分勝手 → マイペース
・感情的 → 感情豊か
・お節介 → 世話好き
・だらしない→おおらか
など、言葉の転換がコツですと。
色々な示唆を提示してくれました。
あれだけワイルドな風貌、いでたちの石井さんが、自分自身のことを「母性の塊かも」とおっしゃっていました。
たぶん、ここは笑うところだと思います(笑)
もし機会があれば、是非とも一度、直接お話を聴いてみていただければと思います。
石井 英寿さんの著書のご紹介
医療法人社団まごころ
四街道まごころクリニック
理事長/院長 梅野 福太郎