令和7年、理事長の年初のご挨拶からあっという間に1ヶ月が経ちました。
例年どおり、今月は事務長より令和7年最初のご挨拶を兼ねてお伝えします。
さて『医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)』という言葉をご存じでしょうか?
昨年の6月1日のまごころブログでは、令和6年度診療報酬改定に伴う『マイナ保険証への移行』に際して、医療DXについて少し触れました。
厚生労働省の定義を一部意訳しますと、
医療DXとは、医療・介護において発生する情報やデータを、クラウドなどを通して、業務・システム・データ保存を外部化・共通化・標準化することで、予防の促進、より良質な医療・ケアを受けられるような社会にすること。
となります。
気になる方は・・・
原文:厚生労働省・医療DXについて
https://www.mhlw.go.jp/stf/iryoudx.html
日本は世界でもトップクラスに「超高齢化」が進み、寿命も世界一、一方では「国民皆保険」「フリーアクセス」「費用負担も一部負担金のみ」といった世界に誇れる手厚い医療保険制度を持っています。
高齢者が増えるということは、医療の需要も増える、一方では少子化により働く世代の減少が見込まれていますから、高い質を保ちつつ、より効率的な医療の提供が必要になってくる、ということではないかと思います。
そのためにも、さまざまな医療情報をデジタル化し、必要な機関間で情報を共有する、という流れになってくるのかと思います。
より具体的に、当院でも取り組んでいる、これから取り組む必要のあるものとしては、
- マイナ保険証によるオンライン資格確認
- オンライン請求(訪問看護ステーション)
- 電子処方箋
- 電子カルテ情報共有サービス
があります。
オンライン資格確認については、既に導入しています。
先にご紹介しました昨年6月1日のまごころブログにあるとおり、新規に訪問診療・訪問看護を導入される皆さまのご契約時に、マイナ保険証を当法人のスマホ端末で読み込ませていただくことで、保険証確認を実施しています。
当初は暗証番号が必要だったため、ご不安な方もおられましたが、現在では目視で顔認証をさせていただくことで、暗証番号不要で確認が可能となりました。
確認にご協力いただき、ありがとうございます。
次に、オンライン請求です。
医療機関(訪問看護ステーション)において実施した診療行為について、皆さまの自己負担金(1割~3割)を除いた金額を、毎月国に請求しているのですが、オンライン請求とは、それを紙の請求書ではなく、オンラインにてデータを送信して請求する、というものです。
その後、国ではその診療行為が適切であったかどうかを審査するのですが、データ化されていることで、より効率的に、正確に審査できます。
クリニックでは既に開院時より導入済みですが、令和6年より訪問看護ステーションでも導入いたしました。
直接的には患者(利用者)さまに見えにくい部分ではありますが、これもDXの1つとなります。
そして、令和7年度、当院でも導入を予定しているのが「電子処方箋」です。
院外処方により薬を処方する際には、紙の処方箋を発行していました。
ご家族で取りに行かれる方については、今は紙の処方箋をお渡しさせていただいているかと思います。
訪問薬剤管理指導により、調剤薬局がお薬をご自宅にお届けする場合においても、患者さまがご希望される薬局に、当院より紙の処方箋をお渡ししています。
「電子処方箋」になると、今後は紙の処方箋の発行はなくなります。
データでやりとりをしますので、全国の医療機関・薬局において過去の薬剤情報を共有することができるようになります。過去に処方された薬剤情報を参照して医師は処方することができ、重複して同じ薬が処方される・飲み合わせが禁忌とされている薬が処方されるといったことを未然に防ぐことができるようになります。
また当院にて導入時期が正式に決まりましたら、ご案内させていただきます。
気になる方は・・・
原文:厚生労働省・電子処方箋について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/denshishohousen_kokumin.html
https://www.mhlw.go.jp/stf/denshishohousen_1year.html
最後に、電子カルテ情報共有サービスです。
こちらはまだ全国的にも本格稼働しておりませんが、今年1月より全国でモデル事業(いわゆるテスト稼働)がスタートしたと言われています。
こちらが導入されますと、例えば、病院から当院へ在宅医療の導入のために紹介されるときにお持ちいただく診療情報提供書(紹介状)や退院時のサマリー(診療記録の要約)はデータで共有されます。
そのほか、健診情報や6情報と言われる傷病名・アレルギー情報・感染症情報・薬剤禁忌情報・検査情報・処方情報も共有され、患者さまご自身でも閲覧することが可能になります。
とても長くなってしまいました。
なかなか専門的な内容になるため、わかりやすい言葉で簡潔に説明することに難渋しますが、患者(利用者)さまに安心・安全な医療を提供し、適切に在宅医療を受療いただけるよう、私たちも時代に沿って、必要なシステムを導入していくために日々学んでまいります。
移行期はご迷惑をおかけすることもあろうかと思いますが、引き続き、ご理解の上、ご協力をよろしくお願い申し上げます。
事務長 大西 肇